退職代行対応に使える顧問弁護士サービス比較|高卒・若手社員の突然の退職にどう備えるか【中小企業向け】
2026.09.18

パーソル総合研究所の調査によると、正社員として離職した人のうち退職代行サービスを利用した割合は5.1%、およそ20人に1人にのぼります。マイナビキャリアリサーチLabの調査でも、直近1年間に転職した人の16.6%が退職代行を利用しており、年代別では20代が18.6%と最も高くなっています。東京商工リサーチが企業に行った調査では、退職代行による退職を経験した企業は全体の7.2%で、資本金1億円以上の大企業では15.7%、中小企業では6.5%という結果でした。利用者の年代別では20代が60.8%を占め、若手社員の利用が中心であることがうかがえます。
これまで「うちのような中小企業には関係ない」と感じていた採用担当者・経営者も少なくないはずです。しかし数字が示す通り、退職代行はすでに一部の大企業だけの話ではなく、中小企業でも一定の割合で経験されている出来事になりつつあります。高卒・若手社員の採用や定着に力を入れている企業ほど、「もし自社の若手社員から退職代行の連絡が来たら、誰がどう対応するか」を事前に整理しておく価値があります。
退職の申し出は、会社側が拒否できるものではない
民法627条により、期間の定めのない雇用契約は退職の申し出から2週間で終了します。大阪労働局のQ&Aでも「会社は退職を拒否できない」ことが明記されています。退職代行から連絡が来た際に大切なのは、突然の連絡に動揺せず、法的に何ができて何ができないかを踏まえて初動を進めることです。
結論ファースト
- 初めて顧問弁護士と契約する中小企業なら:まず日弁連の「ひまわりほっとダイヤル」で無料相談し、相性を確かめてから契約先を決めるのが安心です
- できるだけ低コストでチャット相談の備えを持ちたい小規模企業なら:インテンス法律事務所の月額3,000円プランが候補になります
- 退職代行対応を含め、労務トラブル全般をいつでも相談できる体制にしておきたい企業なら:弁護士法人えそらの「えそらプラン」(相談回数無制限)が向いています
- 契約書レビューなど労務以外の企業法務も含めて手厚く任せたい企業なら:咲くやこの花法律事務所のようなプラン制の顧問契約が選択肢になります
顧問弁護士サービス比較表
| サービス | 特徴 | 料金目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 日弁連ひまわりほっとダイヤル | 全国の弁護士会が運営する中小企業向け弁護士紹介窓口。初回30分相談無料(一部地域を除く)で、相性を見てから顧問委任を決められる | 顧問料は依頼する弁護士ごとに個別設定 | 初めて弁護士に相談する企業、まず無料相談で相性を確かめてから決めたい企業 |
| インテンス法律事務所 | スタートアップ・小規模企業限定のチャット中心プラン。Chatworkでの簡易相談が中心で、優先的な相談予約枠も用意 | 月額3,000円(税抜)、年払い時39,600円(税込) | 初めて顧問弁護士と契約する小規模企業、まずは低コストで備えを持ちたい企業 |
| 弁護士法人えそら(えそらプラン) | LINE・Slack・Chatworkなど複数チャットツールで相談回数無制限。契約から6か月経過後に発生した案件は着手金が原則無料(年1回まで) | 月額11,800円(税込) | 労務トラブルや退職代行など「いざという時」にすぐ相談できる体制を整えておきたい企業 |
| 咲くやこの花法律事務所 | ミニマムからプレミアムまで4段階のプラン制。相談頻度や契約書作成の対応範囲がプランごとに明確 | 月額30,000円〜150,000円+税(4プラン) | 契約書レビューや幅広い企業法務も含めて、より手厚くサポートしてほしい企業 |
※料金・サービス内容は変更される可能性があるため、導入検討時は必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
各社の特徴
日弁連ひまわりほっとダイヤル
日本弁護士連合会が運営する中小企業向けの弁護士紹介窓口です。電話(0570-001-240)またはオンラインフォームから申し込むと、最寄りの弁護士会を通じて弁護士に取り次がれます。初回30分の相談は無料(一部地域では有料)で、相談だけでなく顧問契約の委任まで対応しています。特定の1社ではなく「窓口」という位置づけのため、料金は依頼先の弁護士ごとに異なりますが、まずは無料相談で複数の弁護士と話してみて、自社に合いそうな相手を見つけてから顧問契約を検討できる点が特徴です。
インテンス法律事務所
スタートアップ・小規模・中小企業に対象を限定した、月額3,000円(税抜)のチャット相談中心プランです。営業時間内であればChatworkで気軽に法律相談ができ、優先的な相談予約枠の確保や、個別事件を依頼した際の報酬5%割引などの特典もあります。ただしチャット以外での相談(面談・オンライン面談など)は別途1時間19,800円(税込)のタイムチャージが発生する点、契約から6か月以内に発生した訴訟には割引が適用されない点は事前に確認しておきたいポイントです。
弁護士法人えそら(えそらプラン)
「相談し放題・着手金無料」を掲げるサブスクリプション型の顧問弁護士サービスです。LINE・Google Chat・Slack・Chatworkなど普段使っているチャットツールで相談でき、必要に応じて電話・Web・来所での相談にも対応します。契約から6か月が経過した時点以降に発生した案件については、着手金が年1回まで無料になる仕組みも用意されています。契約期間の縛りがなく1か月単位の自動更新で、いつでも無料解約できる点も、初めて顧問弁護士を持つ企業にとって検討しやすい条件です。
咲くやこの花法律事務所
年商数千万円規模の事業者から年商100億円以上の企業まで、幅広い規模の企業と顧問契約を結んでいる法律事務所です。月額30,000円の「ミニマム」から月額150,000円の「プレミアム」まで4段階のプランが用意されており、月1〜2回の相談を想定したプランから週3回程度の相談を想定したプランまで、企業の相談頻度に応じて選べます。上位プランでは契約書作成が回数無制限で含まれるなど、労務トラブル対応だけでなく契約書レビューを含めた企業法務全般を任せたい企業に向いています。
タイプ別おすすめ(向いている企業)
初めて顧問弁護士を検討する中小企業なら
いきなり1社に決めるのではなく、日弁連ひまわりほっとダイヤルの無料相談を使って複数の弁護士と話し、自社の業種・相談内容との相性を確かめてから契約先を決める進め方が安心です。
できるだけ低コストで「備え」を持ちたい小規模企業なら
月額3,000円のインテンス法律事務所や、相談無制限で月額11,800円のえそらプランのように、料金が明確に公開されているサブスク型のサービスは、社内稟議での説明もしやすく検討に踏み出しやすい選択肢です。
退職代行対応を含む労務トラブル全般に、いつでも相談できる体制にしたい企業なら
相談回数の上限を気にせず使えるえそらプランのようなサービスであれば、退職代行の連絡が来たときだけでなく、日頃の労務相談にも気軽に使いやすくなります。
契約書レビューや幅広い企業法務も含めて手厚く任せたい企業なら
咲くやこの花法律事務所のように、相談頻度と契約書作成の対応範囲が明確なプラン制のサービスであれば、労務トラブル以外の企業法務も含めて一つの窓口に相談できます。
よくある質問
退職代行から連絡が来たら、退職を拒否できますか?
できません。大阪労働局のQ&Aにもある通り、民法上、期間の定めのない雇用契約は退職の申し出から2週間で終了し、会社側の承諾は不要です。ただし、民間業者からの連絡には弁護士法上できる対応とできない対応があるため、まず相手の身元(弁護士か、労働組合か、民間業者か)を確認したうえで、必要に応じて顧問弁護士に相談するのが安全です。
顧問弁護士がいなくても、その都度弁護士に相談すればよいのでは?
その都度の相談でも対応は可能ですが、退職代行からの連絡は「今日中に対応が必要」なケースが多く、初めて相談する弁護士を探す時間的余裕がないことも珍しくありません。あらかじめ顧問契約を結んでおけば、緊急時にすぐ相談できる安心感があります。
中小企業でも顧問弁護士は必要ですか?
必須ではありません。ただし、東京商工リサーチの調査では中小企業でも6.5%が退職代行による退職を経験しており、今後さらに広がる可能性があります。高卒・若手社員の採用・定着に力を入れている企業ほど、労務トラブルへの備えとして検討する価値があります。
料金が明確なサービスはどれですか?
本記事で紹介した中では、インテンス法律事務所(月額3,000円)、弁護士法人えそら(月額11,800円)、咲くやこの花法律事務所(月額30,000円〜150,000円の4プラン)が公式サイトで料金を公開しています。日弁連ひまわりほっとダイヤルは依頼先の弁護士ごとに料金が異なるため、まず無料相談で確認する形になります。
まとめ
パーソル総合研究所やマイナビキャリアリサーチLabの調査が示す通り、退職代行の利用は20代を中心に広がりつつあり、東京商工リサーチの調査では中小企業でも一定の割合で経験されています。高卒・若手社員の採用や定着に力を入れる企業ほど、「もし連絡が来たらどう対応するか」をあらかじめ整理しておくことが、いざというときに冷静な初動につながります。
顧問弁護士サービスは、料金体系やチャットツールへの対応、相談回数の上限などがサービスごとに異なります。まずは日弁連ひまわりほっとダイヤルの無料相談で相性を確かめる、あるいは月額3,000円〜1万円台のサブスク型サービスから始めてみるなど、自社の規模や相談頻度に合った形で検討してみてください。
退職代行対応そのものは弁護士への相談が中心になりますが、そもそも若手社員が「辞めたいと言い出せない」と感じにくい職場環境をどう作るかも、あわせて考えたいテーマです。高卒・若手社員の定着に関する他の施策も気になる方は、若手採用ラボの無料相談・資料ダウンロードもあわせてご活用ください。
出典
- https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20251202-1000-1/
- https://career-research.mynavi.jp/reserch/20241003_86953/
- https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201481_1527.html
- https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/taisyoku.html
- https://esola-law.or.jp/fee/
- https://intense.law/komonbengoshi
- https://legal-adviser.law/cost/
- https://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/service/service9.html
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