ハラスメント外部相談窓口の委託サービス比較|高卒・若手社員が声を上げやすい体制をどう作るか【中小企業向け】
2026.09.24

「パワハラ防止法で相談窓口の設置が義務化された」と聞いたことはあっても、実際には就業規則に一文を加えただけ、あるいは人事担当者の内線番号を貼り出しただけで済ませている中小企業は少なくありません。厚生労働省の資料によれば、パワーハラスメント防止措置は大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から事業主の義務となっており、その一つとして「相談、苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること」が明記されています。
とはいえ、社内の窓口だけでは、入社間もない高卒・若手社員にとって「相談した内容が上司や先輩に伝わってしまうのでは」という不安が拭えないのも事実です。厚生労働省が公表した令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況でも、総合労働相談121万412件のうち「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が60,125件と、12年連続で内容別のトップを占めています。社内窓口に加えて、社外の専門機関に匿名で相談できる外部窓口を用意する企業が増えている背景には、こうした事情があります。本記事では、ハラスメント外部相談窓口の委託サービスを客観的に比較し、自社に合う選び方を整理します。
『いじめ・嫌がらせ』相談は12年連続で内容別トップ
厚生労働省の令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況によると、総合労働相談121万412件のうち「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が60,125件で、12年連続で最多となっています。社内だけで抱え込ませない相談体制づくりが、若手社員の定着にもつながります。
ハラスメント外部相談窓口サービス比較表
| サービス | 特徴 | 料金目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ディアログ(ダイヤル・サービス株式会社) | 社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・公認心理師などの有資格者が対応。24時間365日のWeb受付に加えフリーダイヤルにも対応し、相談内容は翌営業日に個別報告書として企業へ提出。多言語対応あり | 公式サイトに料金表の記載なし(要問い合わせ) | 有資格者による専門的な一次対応と、外国人材を含む多言語対応まで重視したい企業 |
| ハラスメント・内部通報窓口サービス(RESUS社会保険労務士事務所) | 社会保険労務士が運営・監修する窓口で、パワハラ・セクハラに加え2026年10月義務化予定のカスタマーハラスメント、内部通報・コンプライアンス相談にも対応。相談がない月は基本料のみの請求 | 月額5,500円(税込)〜。従業員100名以下は初期費用無料(公式サイト記載) | まずは低コストで外部窓口を用意し、カスハラ対応まで一本化したい中小企業 |
| NHホットライン(株式会社サザンクルー) | 内部通報とハラスメント相談の両方に対応。WEBフォーム・メールは24時間受付、電話は平日10時〜18時。通報件数が増えても月額固定料金は変わらない仕組みで、最短1週間での導入が可能 | 月額15,000円(税込)〜(公式サイト記載) | 申し込みから導入までのスピードを重視し、通報件数を気にせず定額で運用したい企業 |
| 顧問弁護士によるハラスメント相談窓口(弁護士法人咲くやこの花法律事務所など) | 顧問弁護士契約の一環として、専用電話・メールでの相談受付や、相談後の事実確認・対応方針の助言まで法的観点から伴走。全国500社以上の中小企業との顧問実績を公式サイトで公開 | 顧問契約プラン月額3万円(税別)〜(公式サイト記載、窓口業務の範囲は契約内容による) | 相談を受けた後の事実確認や懲戒対応など、法的な判断が必要な場面まで一括で相談したい企業 |
※料金・サービス内容は変更される可能性があるため、導入検討時は必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
そもそもハラスメント相談窓口の設置義務とは
労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)に基づき、事業主には「方針の明確化・周知」「相談に応じ適切に対応するための体制整備」「事実確認と適正な対処」「プライバシー保護・不利益取扱いの禁止の周知」などの雇用管理上の措置が義務づけられています。この義務は大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から適用されており、現在はすべての企業規模で対象となっています。
厚生労働省や都道府県労働局が設置している「ハラスメント悩み相談室」「総合労働相談コーナー」などの公的窓口は、労働者が無料で利用できる窓口ではあるものの、企業が自社の義務として設置すべき「相談体制の整備」そのものの代わりにはならない点に注意が必要です。義務を果たすには、社内窓口(人事・総務など)に加えて、必要に応じて社外の専門機関に相談を委託する体制を整えることが求められます。
社内窓口だけでは『相談しにくさ』が残る
上司や人事担当者への社内窓口をすでに用意している企業は多いはずですが、入社間もない高卒・若手社員にとっては「身近な人にこそ相談しにくい」という心理的なハードルがあります。社外窓口を組み合わせることで、声を上げやすい体制に近づけられます。
なぜ今、外部委託を検討する中小企業が増えているのか
社内窓口だけで相談体制を整えようとすると、次のような課題に直面しがちです。
- 人事担当者が少人数で、相談を受ける側の専門知識や対応の均質性を確保しにくい
- 相談者から見て「結局は社内の誰かに伝わるのでは」という不安が残り、相談自体をためらわれる
- 相談を受けた後の事実確認・処分の検討まで、社内だけで法的な妥当性を判断するのが難しい
外部委託サービスを使えば、専門資格者による一次対応や、相談内容の記録・報告のフォーマットが整い、対応の抜け漏れを防ぎやすくなります。特に高卒・若手社員は、社会人経験が浅く「これはハラスメントに当たるのか」を自分で判断しづらい場面も多いため、匿名で気軽に話せる社外の窓口があること自体が、早期の相談・早期の対応につながります。
各社の特徴
ディアログ(ダイヤル・サービス株式会社)
社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・公認心理師など、複数の専門資格を持つ相談員が一次対応するサービスです。フリーダイヤルに加えて24時間365日のWeb受付にも対応しており、相談があった場合は翌営業日に個別の報告書が企業側へ提出される仕組みです。多言語対応もうたわれており、外国人材を含む職場での導入も想定されています。料金は公式サイトに記載がなく、問い合わせ・見積もりで確認する形になります。
ハラスメント・内部通報窓口サービス(RESUS社会保険労務士事務所)
社会保険労務士が運営・監修する窓口で、月額5,500円(税込)からという料金を公式サイトで明示している点が特徴です。従業員100名以下の企業は初期費用が無料とされており、パワハラ・セクハラに加え、2026年10月に義務化が予定されているカスタマーハラスメント対応や、内部通報・コンプライアンス相談まで一つの窓口でカバーできます。相談がない月は基本料のみの請求となるため、まずは小さく始めたい企業に向いています。
NHホットライン(株式会社サザンクルー)
内部通報とハラスメント相談の両方に対応する窓口サービスで、月額15,000円(税込)からの固定料金制です。通報・相談の件数が増えても料金が変わらない仕組みのため、社員数の増減があっても予算を見通しやすい点が特徴です。申し込みからヒアリング・契約・初期設定を経て、最短1週間での導入が可能とされており、義務化対応を急ぎたい企業にも選択肢になります。
顧問弁護士によるハラスメント相談窓口(弁護士法人咲くやこの花法律事務所など)
顧問弁護士契約の一環として、ハラスメント相談窓口の設置から、相談を受けた後の事実確認・処分の検討まで法的な観点で伴走してもらえる形です。咲くやこの花法律事務所の場合、顧問契約プランは月額3万円(税別)から複数段階が用意されており、全国500社以上の中小企業との顧問実績を公式サイトで公開しています。相談を受けるだけでなく、その後の懲戒対応や再発防止策の検討まで一括して相談したい企業に向いています。
タイプ別おすすめ(向いている企業)
まずは低コストで外部窓口を用意したい企業なら
月額5,500円(税込)からと公式サイトで料金を明示しているRESUS社会保険労務士事務所のような社労士型のサービスが、比較の起点にしやすい選択肢です。
通報件数を気にせず定額で運用したい企業なら
件数が増えても料金が変わらない定額制のNHホットラインのようなサービスであれば、社員数の増減があっても予算を立てやすくなります。
有資格者による専門対応や多言語対応を重視する企業なら
社会保険労務士・産業カウンセラー・公認心理師など複数の専門資格を持つ相談員が対応するディアログのようなサービスが、幅広い相談内容に対応しやすい選択肢です。
相談後の事実確認・処分判断まで一括で相談したい企業なら
顧問弁護士契約の一環でハラスメント窓口を委託できる弁護士型のサービスであれば、法的な妥当性を確認しながら対応を進められます。
そもそも高卒採用の窓口対応や入社後のフォロー体制まで手が回らない企業 ハラスメント相談窓口の整備は、あくまで入社後の職場環境を整える取り組みの一つです。募集から選考、内定後のフォローまで含めて相談したい場合は、高卒採用に特化したカケハシplusのような支援サービスも、診断・相談の選択肢の一つになります。
よくある質問
ハラスメント相談窓口は社内に設置するだけでは不十分ですか?
パワハラ防止法上は、社内窓口の設置でも義務そのものは満たせます。ただし、入社間もない高卒・若手社員ほど「身近な人にこそ相談しにくい」という心理的ハードルを感じやすいため、社外窓口を組み合わせることで、相談のハードルを下げやすくなります。
従業員数が少ない中小企業でも義務の対象になりますか?
はい。パワーハラスメント防止措置は、大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日からすでに義務化されており、現在は企業規模を問わずすべての事業主が対象です。
厚生労働省の「ハラスメント悩み相談室」を案内するだけでは義務を果たせませんか?
厚生労働省や労働局が設置している公的な相談窓口は、労働者が無料で利用できる窓口ですが、事業主自身が講じるべき「相談体制の整備」という義務を代替するものではありません。自社の相談体制として、社内または委託先の窓口を別途用意する必要があります。
外部委託サービスを選ぶときに確認すべきポイントは?
対応する相談員の資格(社会保険労務士・産業カウンセラー・公認心理師・弁護士など)、受付チャネルと対応時間、料金体系(定額制か件数制か)、相談後の報告・事実確認までサポートする範囲があるかどうかを、各社の公式サイトで確認したうえで比較することをおすすめします。
まとめ
ハラスメント相談窓口の設置は、中小企業でも2022年4月1日からすでに義務化されている取り組みであり、厚生労働省の統計でも「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は12年連続で内容別トップを占め続けています。社内窓口だけでは、入社間もない高卒・若手社員が声を上げにくい場面も少なくないため、社外の専門機関を組み合わせる企業が増えています。
RESUS社会保険労務士事務所のように低コストで始めやすいサービス、NHホットラインのように件数を気にせず定額で運用できるサービス、ディアログのように複数資格を持つ相談員が対応するサービス、顧問弁護士契約の一環で事実確認まで伴走してもらえるサービスなど、それぞれ特徴が異なります。優劣で選ぶのではなく、自社の従業員規模や、相談を受けた後にどこまでの対応を任せたいかに合わせて選ぶことが大切です。
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