雇入れ時安全衛生教育のeラーニングサービス比較|高卒・未経験の新入社員に義務づけられた安全教育をどう実施するか【中小企業向け】
2026.09.23

製造業や物流、小売など現場作業を伴う業種で高卒・若手社員を採用すると、入社初日から機械や什器に触れる業務に就いてもらうケースが少なくありません。ところが、労働安全衛生法で全事業者に義務づけられている「雇入れ時安全衛生教育」については、健康診断や研修ほど社内で意識されておらず、「口頭で一通り注意事項を伝えて終わり」になっている中小企業も見られます。
雇入れ時安全衛生教育は、雇用形態を問わず新しく雇い入れたすべての労働者が対象で、パート・アルバイトや派遣労働者(派遣先ではなく派遣元に実施義務)も含まれます。とはいえ、教育内容を一から自社で組み立てるのは負担が大きく、近年は法定項目に対応したeラーニング・オンライン講習サービスを利用する中小企業が増えています。本記事では、こうしたサービスを客観的に比較し、自社に合う選び方を整理します。
経験年数1年未満の労働災害が全体の約2割を占める
中央労働災害防止協会が整理した労働災害統計(2022年)では、経験年数1年未満の労働者の被災件数が25,453件と、全体132,355件の約19.2%を占め、経験年数別で最も多い層となっています。初めて現場に立つ高卒・若手社員への安全教育は、形だけで済ませない重要性があります。
雇入れ時安全衛生教育・eラーニングサービス比較表
| サービス | 特徴 | 料金目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| AirCourse(KIYOラーニング株式会社) | 汎用型のeラーニング(LMS)。安全衛生教育の標準コースに加え、自社独自の教材も動画・スライドとして追加できる。必須受講設定やリマインド、受講履歴のCSV出力など受講管理機能を搭載 | 初期費用0円、月額200円/名〜(公式サイト記載。年間1,000名契約時の単価が条件) | 複数拠点・シフト勤務があり、受講管理まで仕組み化したい企業 |
| 雇い入れ時の教育 講習会・WEB講習(一般財団法人中小建設業特別教育協会) | 建設業向けの法定教育に強い団体が提供。会場受講とオンライン(WEB講習)が同額で選べる。入金確認後2営業日以内にアカウントが発行され、発行日から30日間の学習期限内に受講する仕組み | 9,515円(教材費・消費税込、1名あたり。公式サイト記載) | 建設業で、足場の組立て等特別教育など他の法定教育ともあわせて依頼したい企業 |
| 雇い入れ時安全衛生教育Eラーニング(一般社団法人建設業教育協会) | 労働安全衛生規則第35条に基づく学科教育を、9つの章(各20分程度)に分けて配信。配信日から90日間の受講期限あり。法人での申込のみ受付(個人申込不可) | 4,950円(税込、1名あたり。公式サイト記載) | まず低コスト・単発で、法定項目をひと通り受講させたい企業 |
| LaKeel Online Media Service(ラキール株式会社) | 2〜3分の短編アニメーション動画(800本以上)で、安全衛生・食品衛生などの教育コンテンツを配信。英語・ベトナム語・中国語・ポルトガル語・ネパール語など多言語対応で、外国人材の受け入れにも対応 | 公式サイトに料金表の記載なし(無料視聴の申し込みが可能、要問い合わせ) | 外国人材を含む多様な人材や、文字での学習が苦手な社員にもわかりやすく伝えたい企業 |
※料金・サービス内容は変更される可能性があるため、導入検討時は必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
そもそも雇入れ時安全衛生教育とは
労働安全衛生法第59条第1項および労働安全衛生規則第35条により、事業者は労働者を雇い入れたときに、その従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行うことが義務づけられています。教育内容としては、機械等・原材料等の危険性や取扱い方法、安全装置や保護具の性能・取扱い方法、作業手順、作業に伴って発生するおそれのある疾病の原因と予防、整理整頓・清潔の保持などが定められており、作業内容を変更したときも同様の教育が必要です。
対象は正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員・派遣労働者など雇用形態を問いません(派遣労働者については、派遣先ではなく派遣元の事業者に実施義務があります)。義務を履行しなかった場合は、労働安全衛生法の罰則規定の対象となる可能性があるとされており、「口頭で少し説明しただけ」で済ませてよい教育ではありません。
特別教育(技能講習)とは別の、すべての新入社員が対象の教育
フォークリフトや玉掛けなどの「特別教育」は対象業務に就く労働者のみが対象ですが、雇入れ時安全衛生教育はオフィスワークを含め、業種・職種を問わずすべての新規雇用労働者が対象です。両方が必要な業務であれば、どちらも実施する必要があります。
なぜ今、中小企業でもeラーニング化が検討されているのか
高卒採用や若手採用に力を入れる中小企業ほど、4月にまとまった人数が同時に入社する傾向があります。人事・総務の担当者が少人数の会社では、入社手続きや研修準備と並行して、安全衛生教育の資料を一から作成する余力がないまま、教育が形骸化してしまうことも少なくありません。
また、初めて工場や現場で働く高卒・若手社員にとっては、専門用語や機械の危険性を文字だけの資料で理解するのは簡単ではありません。動画やアニメーションを使ったeラーニングサービスであれば、担当者ごとに説明の質がばらつく心配がなく、受講履歴も記録として残せるため、法定義務を果たしている証跡を残す観点でもメリットがあります。
各社の特徴
AirCourse(KIYOラーニング株式会社)
資格取得講座「STUDYing」なども手がけるKIYOラーニング株式会社が提供する、汎用型のeラーニング(LMS)サービスです。安全衛生教育の標準コースに加えて、自社独自の作業手順やルールを動画・スライド教材として追加できる点が特徴で、初期費用0円・月額200円/名〜という料金体系が公式サイトで公開されています(月額単価は年間1,000名契約時の条件のため、規模の小さい企業は見積もりでの確認が必要です)。必須受講設定や未受講者へのリマインド、受講履歴のCSV出力など、複数拠点・シフト勤務の従業員管理にも対応しています。
雇い入れ時の教育 講習会・WEB講習(一般財団法人中小建設業特別教育協会)
建設業向けの特別教育・技能講習を数多く手がける一般財団法人が提供する講習です。会場での対面受講と、オンラインで動画を視聴するWEB講習が同一料金で選べる点が特徴で、受講料は9,515円(教材費・消費税込、1名あたり)と公式サイトに明記されています。WEB講習は入金確認後2営業日以内にアカウントが発行され、発行日から30日間の学習期限内にすべての動画を視聴する仕組みです。足場の組立て等特別教育など、建設現場で必要になりやすい他の法定教育ともあわせて申し込みやすい点が強みです。
雇い入れ時安全衛生教育Eラーニング(一般社団法人建設業教育協会)
労働安全衛生規則第35条に定められた内容を、9つの章(各20分程度)に分けて配信するeラーニングです。受講料は4,950円(税込、1名あたり)と公式サイトに明記されており、配信日から90日間の受講期限が設けられています。法人での申込のみを受け付けており(個人申込は不可)、まず低コストで法定項目をひと通り学ばせたい企業にとって、比較の起点にしやすいサービスです。
LaKeel Online Media Service(ラキール株式会社)
企業向け動画配信型の教育サービスで、2〜3分程度の短編アニメーション動画を800本以上そろえています。学習意欲や読解力に差がある従業員にも「わかる」ことを重視した設計で、英語・ベトナム語・中国語・ポルトガル語・ネパール語・ミャンマー語・インドネシア語など多言語のコンテンツも用意されており、外国人材を受け入れている製造業・運輸業・建設業などでの導入が想定されています。料金は公式サイトに記載がなく、無料視聴の申し込みを通じて内容を確認したうえで問い合わせる形になります。
タイプ別おすすめ(向いている企業)
複数拠点・シフト制で受講管理そのものを仕組み化したい企業なら
必須受講設定やリマインド、受講履歴の出力機能を備えたAirCourseのような汎用型LMSが候補になります。安全衛生教育以外の社内研修もあわせて一元管理したい企業にも向いています。
建設業で、他の法定教育ともまとめて委託したい企業なら
足場の組立て等特別教育など建設現場特有の法定教育に強い、中小建設業特別教育協会のWEB講習が選択肢になります。
まず低コスト・単発で法定項目を受講させたい企業なら
受講料が明確で法人申込のみに絞っている建設業教育協会のeラーニングは、初めて外部サービスを使う企業にとって比較の起点にしやすいサービスです。
外国人材や、文字での学習が苦手な社員にもわかりやすく伝えたい企業なら
短編アニメーションと多言語対応を備えたLaKeel Online Media Serviceのようなサービスが、理解度を確保するうえで検討材料になります。
よくある質問
雇入れ時安全衛生教育は具体的に何をすればよいですか?
労働安全衛生規則第35条に定められた、機械等の危険性や取扱い方法、安全装置・保護具の取扱い、作業手順、作業に伴って発生するおそれのある疾病の予防などについて、雇い入れた労働者に教育を行う必要があります。事業者が自社で実施することも、外部のeラーニング・講習サービスを利用することも可能です。
パート・アルバイトや派遣労働者も対象になりますか?
雇用形態を問わず、新しく雇い入れたすべての労働者が対象です。派遣労働者については、派遣先ではなく派遣元の事業者に実施義務があります。
フォークリフトなどの「特別教育」を受けていれば、雇入れ時安全衛生教育は不要ですか?
特別教育は対象業務に就く労働者のみが対象の別の制度であり、雇入れ時安全衛生教育とは根拠となる規定も対象範囲も異なります。フォークリフト等の業務に就く場合は、特別教育と雇入れ時安全衛生教育の両方が必要になります。
実施しなかった場合、どうなりますか?
労働安全衛生法上の義務であり、履行しなかった場合は罰則規定の対象となる可能性があるとされています。義務の有無にかかわらず、初めて現場に立つ高卒・若手社員の労働災害を防ぐためにも、実施記録を残しながら確実に行っておく価値があります。
まとめ
雇入れ時安全衛生教育は、労働安全衛生法第59条・労働安全衛生規則第35条により、業種や雇用形態を問わずすべての新規雇用労働者に対して義務づけられている教育です。経験年数1年未満の労働者の労働災害が全体の約2割を占めるというデータもあり、初めて現場に立つ高卒・若手社員にとって、形だけで済ませてよい教育ではありません。
AirCourseのように受講管理まで仕組み化できるサービス、中小建設業特別教育協会や建設業教育協会のように建設業の法定教育に強いサービス、LaKeel Online Media Serviceのように多言語・短編アニメーションでわかりやすさを重視したサービスなど、それぞれ特徴が異なります。優劣で選ぶのではなく、自社の業種や受講対象者の人数、外国人材の有無といった条件に合わせて選ぶことが大切です。
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出典
- https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/a-kyoiku.html
- https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001403814.pdf
- https://www.tokubetu.or.jp/faq/faq14.html
- https://www.tokubetu.or.jp/kyoiku/shubetsu_yatoi.html
- https://www.tokubetu.or.jp/price.html
- https://k-k-k.jp/employment/
- https://aircourse.com/
- https://om.lakeel.com/
- https://www.jisha.or.jp/international/search/result/detail.html?pdid=2025
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