資格取得支援サービス比較|高卒・若手社員の『成長実感』とスキルアップ機会をどう用意するか【中小企業向け】
2026.09.25

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、在学していない若年労働者の職業生活の満足度を項目別にみたとき、「教育訓練・能力開発のあり方」への満足度DI(満足の割合から不満の割合を引いた値)は、若年正社員で18.5ポイント、正社員以外の若年労働者で18.2ポイントとなっており、いずれも「賃金」に次いで低い水準にとどまっています。一方で、事業所側が若年労働者の定着のために実施している対策をみると、「教育訓練の実施・援助」を挙げた事業所は若年正社員で30.5%、正社員以外の若年労働者で20.6%と、他の対策に比べて実施率が低く、前回調査(平成30年)からの増加幅もわずか1.0ポイントにとどまっています(「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」は同期間で15.1ポイント増加)。
つまり、若手社員が感じている「スキルアップの機会が乏しい」という不満に対して、企業側の対応は他の定着対策に比べて後回しにされがちだという状況がうかがえます。ハローワークへの求人票の出し方や面接での見せ方といった採用面の工夫に力を入れる中小企業は多い一方、入社後の「資格取得支援」まで仕組み化できている企業は限られています。本記事では、企業が資格取得を仕組みとして支援できるサービスを客観的に比較し、自社に合う選び方を整理します。
『教育訓練・能力開発』の満足度は『賃金』の次に低い
厚生労働省の調査では、若年労働者の職業生活の満足度のうち「教育訓練・能力開発のあり方」は、正社員・正社員以外ともに「賃金」に次いで満足度が低い項目でした。定着のための対策としても「教育訓練の実施・援助」は他の施策に比べて実施率の伸びが小さく、後回しにされやすい領域といえます。
資格取得支援サービス比較表
| サービス | 特徴 | 料金目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| JTEX(職業訓練法人日本技能教育開発センター) | 40年の実績、利用企業40,000社以上、受講者数200万人超(公式サイト)。電気工事士・危険物取扱者・消防設備士・技能検定(機械加工等)など、約200講座の技術系国家資格対策の通信教育に特化 | 講座により異なる(公式サイトで講座ごとに確認) | 製造業・建設業などで現場の技能系資格を若手に取らせたい企業 |
| ユーキャン法人サービス(株式会社ユーキャン) | 70年でのべ2,500万人が受講、この10年で53資格31万人以上の合格者を輩出(公式サイト)。資格・ビジネススキルなど幅広いジャンルの通信講座・eラーニングを提供し、教育訓練給付金の対象講座も多い | 要問い合わせ(申込み後に請求書払い) | 業種を問わず幅広い資格・スキルアップ講座を選択肢として用意したい企業 |
| e-JINZAI for maker(株式会社ビズアップ総研) | 製造業特化のオンライン研修プラットフォーム。資格対策講座に加え、新人・若手向けの階層別基礎研修、AI・DX研修まで一つのプラットフォームでまとめて提供 | 要問い合わせ | 製造業で資格研修と新人・若手の階層別研修を一括でオンライン化したい企業 |
| ヒューマンアカデミー通信講座(旧たのまな) | 250種類以上の通信講座を提供(公式サイト)。医療事務・登録販売者など接客・サービス業向けの資格が充実し、一般教育訓練給付金の対象講座も用意 | 講座により数万円台〜(公式サイトで講座ごとに確認) | 販売・サービス業など事務・接客系の資格を若手に取らせたい企業 |
※料金・講座内容は変更される可能性があるため、導入検討時は必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
そもそも資格取得支援サービスとは
資格取得支援サービスとは、従業員が業務に関連する資格・免許を取得する際の教材・講座費用や学習環境を、企業が仕組みとして用意するためのサービスです。形態は大きく分けて、通信教育・eラーニングの講座を従業員に受講させる「講座提供型」と、階層別研修や法定教育とセットでプラットフォーム化する「研修プラットフォーム型」があります。中小企業では、まず対象講座や料金体系が分かりやすい通信教育から導入するケースが多く見られます。
教育訓練給付金・助成金という「後押し」
厚生労働省の教育訓練給付制度のうち、一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する対象講座を受講・修了した場合に、本人が支払った受講料等の20%(上限10万円)が支給される仕組みです。対象講座かどうかは講座ごとに指定されているため、受講前に厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」で確認する必要があります。
また、企業側が研修・資格取得支援にかかる経費を負担する場合は、人材開発支援助成金(人材育成支援コースなど)を使えば、要件を満たした研修について経費の一部の助成を受けられる場合があります。助成率や上限額は訓練内容・時間数・雇用形態などによって細かく定められているため、詳細は厚生労働省の公式サイトや管轄の労働局・ハローワークに直接確認することをおすすめします。いずれの制度も「使えば必ず一定額が戻る」というものではなく、対象講座・要件を満たすかどうかの事前確認が前提になります。
なぜ今、中小企業でも資格取得支援が検討されているのか
前述の通り、若手社員の「教育訓練・能力開発のあり方」への満足度は低く、企業側の対応も他の定着対策に比べて遅れがちです。特に高卒入社の若手社員は、大学等で専門知識を積む機会がないまま現場に配属されることが多く、「この会社にいれば専門性が身につく」という実感を持てるかどうかが、入社後数年の定着を左右する要素の一つになります。
資格取得は、給与テーブルへの反映や任される仕事の幅の拡大につながりやすく、本人にとって成果が見えやすい成長機会です。また、危険物取扱者や電気工事士のように、現場の業務上・法令上必要になる資格も多く、資格取得支援は「福利厚生」であると同時に「事業運営上の必要投資」でもあります。
資格取得は『会社に評価されている実感』をつくる
資格取得支援は単なるスキルアップの手段ではなく、「会社が自分の成長に投資してくれている」という実感を若手社員に与える機会でもあります。合格時の一時金や昇給への反映など、取得後のフォローまで設計できるかが、モチベーション維持の鍵になります。
各社の特徴
JTEX(職業訓練法人日本技能教育開発センター)
職業能力開発促進法第31条に基づく職業訓練法人として、40年にわたり技術系国家資格対策の通信教育を提供してきました。利用企業40,000社以上、受講者数200万人超という実績を公式サイトで公開しており、電気工事士(第一種・第二種)、危険物取扱者、消防設備士、機械加工の技能検定など、製造業・建設業の現場で必要とされる資格を約200講座でカバーしています。テキスト・添削・スクーリング(実技対策)までを含めたコースが用意されており、独学では合格が難しい実技試験対策まで対応できる点が特徴です。料金は講座により異なるため、公式サイトで個別に確認する必要があります。
ユーキャン法人サービス(株式会社ユーキャン)
70年にわたりのべ2,500万人に「学び」を提供してきた実績を持ち、この10年間だけでも53資格・31万人以上の合格者を輩出しています(公式サイト)。資格・ビジネススキルの通信講座やeラーニング、定額制オンライン研修「ビジトレホーダイ」など、業種を問わず使えるラインナップの幅広さが特徴です。教育訓練給付金の対象講座も多数用意されており、みずほフィナンシャルグループや日本通運など大手企業・自治体への導入実績も公開されています。申込み後は企業担当者宛に請求書が発行される仕組みで、料金は講座ごとの確認が必要です。
e-JINZAI for maker(株式会社ビズアップ総研)
製造業に特化したオンライン研修プラットフォームで、経済産業省「デジタルスキル標準ver.2.0」に対応したコンテンツを含め、AI・DX人材育成をワンストップで支援するとしています。資格研修だけでなく、新人・若手向けの階層別基礎研修、製造業実務研修、専門職研修まで一つのプラットフォームにまとまっているため、資格取得支援と新人・若手教育を別々のサービスで契約する手間を省きたい製造業に向いています。料金・対応資格の詳細は公式サイトからの問い合わせ・資料請求で確認する形になります。
ヒューマンアカデミー通信講座(旧たのまな)
250種類以上という豊富な講座数を公式サイトで公開しており、医療事務・登録販売者・ネイル・保育士など、製造業以外の販売・サービス業・事務職向けの資格に強みを持ちます。継続割引などの割引制度に加え、一般教育訓練給付金の対象講座も複数用意されており、対象講座であれば受講料等の20%(上限10万円)の給付を受けられる場合があります。個人受講が前提の設計になっているため、法人としてまとめて導入する場合は対象講座や手続きについて公式サイト・窓口での確認が必要です。
タイプ別おすすめ(向いている企業)
製造業・建設業で現場の技能系資格を取らせたい企業なら
電気工事士や危険物取扱者など、実技対策まで含めて資格取得を支援したいなら、技術系国家資格に特化してきたJTEXのような通信教育が候補になります。
業種を問わず幅広い資格・スキルアップ講座を用意したい企業なら
資格の種類を問わず、教育訓練給付金の対象講座も含めて幅広い選択肢を従業員に提示したいなら、講座数の多さと実績を公開しているユーキャン法人サービスのようなサービスが検討しやすいでしょう。
資格研修と新人・若手研修をまとめてオンライン化したい製造業なら
資格取得支援だけでなく、新人・若手の階層別研修やAI・DX教育まで一括りで管理したいなら、製造業特化のプラットフォームであるe-JINZAI for makerのようなサービスとの相性を確認する価値があります。
販売・サービス業で接客・事務系の資格を取らせたい企業なら
医療事務や登録販売者など、現場よりも接客・事務系の資格を若手に取得させたい場合は、該当ジャンルの講座数が豊富なヒューマンアカデミー通信講座のようなサービスが選択肢になります。
よくある質問
資格取得支援サービスの導入は義務ですか?
義務ではありません。ただし、危険物取扱者や電気工事士のように業務上・法令上必要な資格がある職種では、資格保有者を計画的に育成できるかどうかが事業運営に直結します。若手社員の定着支援と、必要資格の計画的な取得という2つの目的を同時に満たす手段として検討する企業が増えています。
教育訓練給付金や助成金はどのように活用できますか?
従業員本人が対象講座を受講する場合は一般教育訓練給付金(対象講座の受講料等の20%、上限10万円)、企業が研修費用を負担する場合は人材開発支援助成金など、活用できる制度がいくつかあります。ただし対象講座や助成の要件は制度ごとに細かく定められているため、受講・契約前に厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」や管轄の労働局・ハローワークで個別に確認することが前提になります。
高卒入社の社員でも資格取得支援は使えますか?
多くの通信教育・研修サービスは学歴を問わず受講できます。むしろ、大学等で専門知識を積む機会がなかった高卒入社の若手社員にとって、現場に必要な資格を仕組みとして学べる環境が用意されているかどうかは、応募・定着の両面で企業の見え方に影響します。
資格取得支援を導入すれば定着率は上がりますか?
資格取得支援はあくまで「成長実感」を提供する手段の一つです。厚生労働省の調査では、初めて勤務した会社を辞めた理由として「労働時間・休日・休暇の条件」や「人間関係」も上位に挙がっているため、資格取得支援だけで定着率が改善するとは限りません。労働条件の見直しや社内コミュニケーションの改善など、他の施策とあわせて検討することでより効果を発揮しやすくなります。
まとめ
厚生労働省の調査では、若手社員の「教育訓練・能力開発のあり方」への満足度が「賃金」に次いで低く、企業側の対応も他の定着対策に比べて後回しにされがちな実態が明らかになっています。高卒・若手社員にとって資格取得は、給与や任される仕事の幅に直結する分かりやすい成長実感であり、まだ手を付けていない中小企業にとっては差別化の余地が大きい領域でもあります。
JTEXのように技術系国家資格に特化したサービス、ユーキャン法人サービスのように幅広いジャンルをカバーするサービス、e-JINZAI for makerのように新人・若手研修とまとめて提供するサービス、ヒューマンアカデミー通信講座のように接客・事務系の資格に強いサービスなど、それぞれ得意分野が異なります。優劣で選ぶのではなく、自社の業種・必要な資格の種類・従業員数との相性で選ぶことが大切です。
教育訓練給付金や人材開発支援助成金など、費用負担を軽減できる制度も用意されているため、導入コストが気になる場合はあわせて確認してみてください。「自社にどんな資格取得支援が合うか分からない」という方は、若手採用ラボの無料相談・資料ダウンロードもあわせてご活用ください。
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